「ピルにゃん」プロジェクト代表:白須 真鶴枝(通称 たぬき編集長)
大学卒業後、人材サービス企業に就職。新卒や若手の採用や研修に関わる。その後、ITベンチャーで、マーケティングリサーチ、メディア営業を経て、医療業界に転身。
正社員・個人事業主・アルバイトを組み合わせて医療業界を中心に経験を積む。①医師紹介会社にて集合健診のスポット求人担当・非常勤求人の医師側担当として条件交渉や病院見学同席など、②医師向けアプリ「ヒポクラ」の学会出展担当、ブランディング、UI/UX改善など、③内科クリニックの受付・事務、④救急医療システム企業TXP Medical(株)にてオウンドメディアの立ち上げ、⑤認定NPOカタリバで不登校児の保護者向け相談LINEの立ち上げ(主に運用フロー作成)、⑥埼玉医科大学の非常勤職員として、厚生労働科学研究費補助金による「保健・医療・教育機関・産業等における女性の健康支援のための研究」に参画し、包括的セクシュアリティ教育に関連する教材「まるっと!からだとこころの科学まなブック」のレベル2〜4を作成。とりわけ、レベル4(15歳〜18歳以上)に関しては、企画執筆など中心に携わった。
※2017年に(株)アメニモを起業し、日本MITベンチャーフォーラム主催「第18回 ビジネスプランニングクリニック&コンテスト(BPCC18)」にて審査員特別賞を受賞。当時、いち早く緊急避妊薬や低用量ピルのオンライン診療のビジネスモデルを発表したが、規制緩和により、多くのプレイヤーの参入、乱立が予想されたのでオンライン診療の事業化はせず会社は解散。非営利事業として「ピルにゃん」を立ち上げ、毎年のように変わっているガイドライン変更等に基づいて適正なサービスを消費者がわかりやすく探せる情報サイトを運営している。
「どうやったら自分に合った選択肢をみんなが選べるようになるだろう?」
新卒で人材業界に入り、サラリーマン時代とフリーランスを含めて大学生の新卒採用や若手社会人研修に、約10年、関わってきました。人事向けの営業と求職者のカウンセリング、両方の経験を積みました。特にカウンセリングの方では、人生の大きな岐路の意思決定に関わっていくわけですが、「自分がどうしたいか」よりも「他人の期待に応える」ことを優先する人が多いように感じました。先行き不透明な時代と言われて育ち、将来に不安がある人も多く、自分のやりたいことを追求しているような夢見がちなことをするよりも、現実を見つめて「安定に見える」選択肢を選ぶ方もいます。
良い同僚や上司に恵まれていればいいのですが、時に理不尽に思うことを押し付けられたりする環境が続くこともあります。そうすると、本当はやりたいことではないのだけど、安定のために我慢し続けて働いた結果、うつ病になったり、ストレスで体調を壊してしまって、それでも失業の恐怖から会社を辞められない人もいました。また本人は健康であっても、家族が病気や障害を抱えてサポートが必要だったり、妊活、子育て、介護、その他の理由で、仕事だけに生活を100%コミットできる状態にない方もたくさんいらっしゃいます。競争社会というのは厳しいもので、「自助」「共助」「公助」のうち、公助(福祉制度)にもたどり着けず、都会の核家族や1人暮らしで共助をしてもらえる仲間もいない、自助努力の限界のところで生きている方、そういう方に「大変な時はSOSを出してもいいんだよ」「我慢しないで本当にやりたいことを目指していいだよ」と伝えたいとずっと思っていました。競争ではなく、助け合いの社会に意識変革していくことが、人々の心が健康でいられる一歩だと思っています。
人生100%順風満帆の人なんていません。山あり谷あり、私なんてジェットコースターのような人生です。
予期せぬことで困ることは誰でもあります。困った時は、社会として助け合いの選択肢を準備することが大切だと思っています。ただ、選択肢を社会が提供すれば、誰かを救えるか?というとそうでもありません。目の前にある選択肢を自分の意思で選ぶことができてやっと、状況を打破できるのです。自分で選べるようになるには2つのハードルがあると感じています。1つ目は、自分に自信がなかったり、他人の期待に応えることが当たり前になってしまって、自分の本当の気持ちを感じることが難しくなっている場合があること。2つ目は、自分に合った支援者・支援先を探せない、辿りつけないこと。
「選ぶ」って本当に難しい。どうやったら自分に合った選択肢を発見し、みんなが選べるようになるだろう?と考えました。そこで私に知識が足りなかった公助として重要な役割を果たす医療業界に転身してみました。医療と労働の仲介点として、最初は産業保健に興味を持ちましたが、紆余曲折あり臨床医師のサポートを経て、運命の避妊医療・性教育(人権教育)に出会いました。
ユネスコやWHOが出している「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」を読んでみると、5才から自分を大切にすること、相手を尊重することを教えることを記載しています。またSOSの出し方など、ソーシャルスキル全般が概要に含まれています。とても素敵なコンセプトで、感動したのを覚えています。
「ピルにゃん」では、自費と公費が混ざり合い制度理解がやや複雑で、さらに偏った知識から偏見をもたれがちな「ピル」という領域と、性教育(人権教育)を通じて、「自分に合った選択肢を選べる社会」を作ることに貢献できたらと思っています。
「ピルにゃん」は記事内容によって、専門家に監修を依頼しております。
今までの記事作成にご協力いただいた方のご紹介です。
医学監修(産婦人科):柴田綾子さん
産婦人科専門医
2011年群馬大医学部卒業。沖縄県立中部病院での初期研修後、2013年より淀川キリスト教病院産婦人科勤務。院内に留まらず各地での後進教育に携わる。また、性・妊娠・出産について悩む人を減らしたいと、一般に向けた発信も積極的に行う。著書:『女性の救急外来ただいま診断中!』(中外医学社)、『ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム』(診断と治療社)、『産婦人科研修ポケットガイド』(金芳堂)、『患者さんの悩みにズバリ回答! 女性診療エッセンス100』(日本医事新報社)
薬学監修(薬剤師):福井彩香さん
薬学部を卒業後、大学病院に入職。入院患者さんの服薬支援や臨床研究に携わる。その後、ITベンチャー企業を経て、現在は医療ベンチャー企業にてオンライン服薬指導に関する業務を担当している。
「ピルにゃん」プロジェクト
記事の作成、著作権などは「ピルにゃん」プロジェクトに帰属します。